経済が相反する指標を示す中、企業が慎重なアプローチを採用し、コスト削減策を実施しているのは当然のことである。残念なことに、マーケティング予算はしばしば最初の犠牲となる。当社は2022年12月、北米の著名な消費者企業のマーケティング最高責任者(CMO)約30人を対象に調査を実施した。その結果、これらのCMOは、会社の取締役会から要求された通り、平均して過去12カ月間にマーケティング支出を8%削減したと報告していることが明らかになった。場合によっては、マーケティング予算が10〜20%削減されることもあった。衝撃的だったのは、ある著名な上場企業がマーケティング予算を20%以上も削減したことだ。今日の複雑なビジネス環境を乗り切るには、コスト管理と強力なマーケティング・プレゼンスの維持のバランスを見つけることが重要である。
マーケティングは食卓につくべきだが、食事になるべきではない
過去3年間、マーケティング担当者は、消費者心理の急速な変化と取引に関連するコストの上昇により、困難な道のりに直面してきた。経済が不安定な時代、買い物客は価値を優先せざるを得なくなり、購買意欲を低下させる傾向にある。実際、2023年3月に実施した調査では、消費者の80%が、購入する量やパックのサイズを調整したり、より手頃な選択肢を求めてブランドや小売業者を変えたりすることで、買い物行動を修正していることが明らかになった。
同時に、マーケティングコストも上昇傾向にある。12月に実施したマーケティング最高責任者(CMO)を対象とした調査から得られた知見によると、2022年の平均クリック単価は前年比で20ポイントの大幅な上昇を記録した。
マーケティングへの投資家アプローチ
厳しい経済状況の中、マーケティング・リーダーは、コスト削減の指示に対して、各分野で10%削減するなど、様々なマーケティング・チャネルで一律の削減を実施することが多い。多くの人は、単に支出を減らせばそのような対策は何とかなると考えている。節約を達成する能力には自信があっても、成長を促進することに関しては自信がないようだ。12月の調査によると、回答者の3人に2人が、支出削減と競合他社を上回る業績を同時に達成することに不安を表明している。
しかし、前進する道はある。大幅かつ無差別な予算削減だけに焦点を当てるのではなく、企業は投資家マインドを採用し、マーケティング投資に対してより微妙なアプローチをとることができる。このアプローチでは、支出超過の領域を特定し、必要な場合には支出を削減すると同時に、長期的な投資収益率(ROI)がより高くなる可能性のあるイニシアティブに追加的なリソースを割り当てる。非効率な支出を排除することで、成功した企業は10~20%の節約を達成できる可能性がある。こうした節約分を、より効率的な取り組みや的を絞ったキャンペーンに再投資することで、5~10%の成長を目指すことができる。
このように戦略的にリソースを再配分することで、企業は大きな競争優位を築くことができる。
「撤退したくなる気持ちもわかるが、成長を倍加させる企業は、回復が早いだけでなく、結果的に強くなっていくだろう。"
どうすれば始められるか?CMOのための行動への呼びかけ
景気変動が続いているとはいえ、今年度は、マーケティング担当者にとって、企業の実質的な価値を解き放ち、効率化を活用して成長を促進し、将来の明確なアジェンダを確立する極めて重要な機会となる。
先行き不透明な時代には、企業は後退して保守的なアプローチを取りたくなるかもしれない。しかし、成長イニシアチブを倍増させることを選択した組織は、より迅速に回復するだけでなく、この難局から力強く立ち上がることができると、私たちは確信している。この激動の時代は、最高マーケティング責任者(CMO)やマーケティング・リーダーにとって、集中力を高める決定的な瞬間となる。